2013年09月04日

私は、古い貸家を所有していたのですが、その土地を売ってほしいという人が現れました。そこで、その貸家を取り壊して売却することとなり、取壊しにかかったのは約100万円でした。この費用については譲渡費用として差し引くことが可能かどうかということと、譲渡費用にはほかにどのようなものがあるのかということを教えてください。

土地等の譲渡に際して当該土地等の上の建物等を取り壊した場合において、その譲渡のためにその取壊しがなされたことが明らかであるときには、譲渡所得の金額を計算するに当たり、譲渡費用として差し引くことが可能です。それは、取壊しを行うことで当該土地等の価値の増加が期待できるためです。
 ただし、更地にすると売却に有利だからとあらかじめ建物の取壊しを行っていた場合については、任意の取壊しとなり、譲渡費用とはいえなくなります。譲渡のために直接かかった費用か否かがポイントですので、譲渡契約書において取壊しを条件として書き記す等して、取壊しが譲渡のために行われたということを明瞭にしておきましょう。

 譲渡所得の計算については、土地や建物の売却をした金額から取得費と譲渡費用を控除します。土地や建物の売却を行うために直接要した費用のことを譲渡費用と呼び、譲渡費用には、建物の取壊し費用のほか、建物の未償却残高相当額も含まれます。ゆえに、譲渡費用については、次のように計算します。
建物の取得費(未償却残)+取壊しや除却による支出費用-取壊しや除却により発生した廃材の処分価格

 また、譲渡費用の主なものは、次の通りといえます。
1.不動産を売却するために直接かかった費用
・売買契約書の土地や建物を売るために支払った仲介手数料
・印紙税で売主が負担したもの
・売却のための広告料
・測量費
・売却交渉のための交通費や宿泊費
・いろいろな調査のための費用(アスベスト調査や耐震診断等)
2.不動産の譲渡価額を増加させるために支出した費用
・貸家を売るために借家人に立ち退いてもらうときに支払う立退料
・土地等を売るためにその上にある建物を取り壊したときの取壊し費用とその建物の損失額
・有利な条件で譲渡するために契約を解除したときの違約金

 上記のように、売却するために直接かかった費用を譲渡費用といいます。それゆえ、固定資産税や都市計画税、家財等の引越し費用、抵当権抹消登記にかかった費用、相続の名義変更登記費用、売却代金の取り立てにかかる費用(弁護士費用等)、譲渡所得を申告するために払った税理士報酬といったものは、譲渡費用に含まれません。
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父からの相続で、駐車場とされている土地を、私と弟の共有で2分の1ずつ相続しました。私は売りたいと考えているものの、弟の反対で売ることができません。土地を売るために、共有状態の解消をし、単独所有に切り替えたいのですが、どういう方法がありますか?

共有物の分割という方法が存在します。共有物の分割とは、個人が他の人と土地を共有しているときに、当該共有地を持分に応じて分割することです。あなたの場合に留意すべきなのは、分割後におけるあなたの土地の価額と弟の土地の価額を、おおむね等しくなるようにすることです。

1.共有物の分割
共有地の持分を他の人に移転した際に、所得税又は贈与税が課される場合があります。ただし、共有地に関してその持分に応じた分割がなされ、分割後の土地の価額比が共有持分の割合とおおむね等しいのであれば、その分割に対する課税は行われません。

2.土地の価額
共有物の分割に関しては、分割後における土地の価額の比を、共有持分の割合とおおむね等しくすることが重要です。分割後の面積比は共有持分の割合と等しく、土地の価額比は共有持分の割合と異なるという分割は、税金がかからない共有物の分割に該当しません。
ご質問の場合に、兄弟の共有地の分割を行い、たとえ分割後の面積が等しくなっても、兄が大通りに面した土地を取得し、弟の土地はそれより狭い道路にだけ面しているという状態になったときには、兄の土地の価額の方が高くなると思われます。土地の面積を等しくするのではなく、土地の価額を等しくすることが大切だといえます。
ちなみに、分割後における土地の価額比を共有持分の割合に合わせなければなりませんので、不動産鑑定士といった専門家に土地の価額の鑑定を依頼されるといいでしょう。
posted by 不動産 at 17:28| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

過日、父に相続が発生しました。母は既に亡くなっています。私と妹が相続人で、父の財産は自宅の不動産(相続税評価額8,000万円)と保険金(3,000万円)です。妹との遺産分割において、自宅については父と同居していた私が相続するとの合意をしました。ただし、保険金の受取人についても私でありましたから、妹が相続する財産がありません。不動産を共有とすることは希望していませんが、何かいい方法はないですか?

代償分割という方法が挙げられます。遺産分割の方法の一つで、相続人の一人又は数人が相続財産を取得して、その相続財産を取得した人が他の相続人に代償金等を支払う方法を、代償分割と呼びます。
あなたの場合、ご自宅の不動産の全て及び保険金を取得して、妹に対しては代償金を支払うことをお勧めします。

1.不動産を共有で相続する場合
遺産分割に際して、不動産だけが相続財産であるときには、当該不動産を共有持分で相続するという選択肢が存在します。ただ、兄弟で不動産を共有すれば、売却といった処分の際にも共有者の同意が必要となり、将来財産が細分化されていくケースも存在します。
ご質問の場合に、ご自宅の不動産について、あなたと妹が共有で相続すれば、ご自宅の建替えや買換えのときには、妹の同意が必ず必要とされます。

2.小規模宅地等の特例
相続税の計算に際して、小規模宅地等の特例が適用されるか否かの判定は、不動産の取得者ごとに行われますので、要件を満たさない相続人がその不動産を相続したときには適用されないことになります。なお、同居している親族がご自宅を相続すれば、一定の要件を満たすことにより、240㎡まで80%が減額されます。
ご質問の場合に、ご自宅の不動産について、あなたと妹が2分の1ずつ共有で相続し、一定の要件を満たすことによって、あなたが相続する持分に関してのみ80%が減額され、妹が相続する持分に関してはこの特例の適用を受けられません。
ご自宅の不動産について、その相続税評価額は次のようになります。          
(1)あなたが全て相続した場合の相続税評価額
  8,000万円×(100%-80%)=1,600万円
(2)あなたと妹が2分の1ずつ共有で相続した場合の相続税評価額
  あなたの持分・・・8,000万円×1/2×(100%-80%)=800万円
 妹の持分・・・8,000万円×1/2=4,000万円
 合計・・・4,800万円

3.代償分割
あなたがご自宅の不動産を全て相続した場合には、将来における処分もご自身の判断だけですることが可能であり、小規模宅地等の特例を適用することができます。
妹には、代わりに、保険金やご自身の現預金等より代償金の支払いを行うことで、遺産分割を着実に実現できます。
次のようなことが注意すべき点であるといえます。
・代償分割を予定している場合、生命保険金等で代償金に見合う財産の準備を存命中にしておかなければなりません。
・相続によって取得した不動産を売り、その代金の分割を行った場合、換価分割と判断されて、売却に関する所得税等の課税がなされる可能性があります。
・代償財産として交付を行う財産が、その交付する相続人が所有している不動産である場合、その交付の際の時価によってその不動産を売却したこととなり、所得税等の課税がなされます。
posted by 不動産 at 17:27| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

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